Guest

「万智の交遊録」第18回は、星野富弘さんです。

星野富弘さんのこと

 今年のゴールデンウィークに、初めて星野さんにお会いしました。彼の素晴らしい絵と、それに添えられた心にしみる言葉のファンだったので、とても嬉しい一日でした。
 群馬県にあるお宅におじゃますると、玄関に大きなオウムが二羽いて、キャアキャア鳴いて出迎えてくれます。緑豊かな環境で、ここなら散歩していても毎日のように、描きたいものに会えるんじゃないかなあと思いました。
 が、星野さんは「花がありすぎると、意外と描けないものなんですよ。かえって少ない時期のほうが集中できるんです」と言っておられました。中学の体育教師だった彼は、生徒の指導中に事故にあい、手足の自由を失いました。その入院中に花や言葉の持つ力に気づいたそうです。それと、今回伺って興味深かったのは、隣のベッドにいた「短歌おじさん」の話。そのおじさんは、どんなことでも短歌にして、辛いこと嫌なことでも、短歌にすることで喜びに変えていたそうです。「自分にはこういうものがないな」と感じた星野さんですが、彼はやがて絵と詩で自分の思いを表現するようになります。
 一日に一時間ほどしか、絵を描くことはできないそうですが、「その制約が、実はとてもいいのだと気づきました。以前は手が動いたらとか、もっと長い時間描きたいとか、思ったのですが」。制約がいい、というのは短歌にも通じるものがあります。なんでも、何時間でも描くことができる人より、星野さんは、本当に描きたいものを厳選しておられるのでしょう。だから、生きることのエッセンスのような作品が生まれるのだと思います。
 実際にお会いして、びっくりしたことは、とっても冗談の好きな、ひょうきんなかただということです。そういえば彼の作品にも、ひょっと顔をのぞかせるユーモアが、豊かないろどりを添えていることがあります。お人柄がにじみでているんだなあと思いました。

第17回 平地勲さん
第16回 南こうせつさん
第15回 岩城宏之さんへ
第14回 野田秀樹さん
第13回 鴻上尚史さん
第12回 吉永小百合さん
第11回 森啓次郎さん



チョコレートBOXへ戻る|万智の交遊録目次へ戻る


Copyright(c)1999 by Machi TAWARA & GTP. All rights reserved.
このページに掲載されている文章・写真の無断転載を禁じます。
転載・リンクについては、e-mail: webmaster@gtpweb.netにお尋ねください。