「万智の交遊録」第23回は、詩人・ミュージシャンのドリアン・T・助川さんです。

中野でのコンサートの打ち上げにて
友だちの中には、だんだん仲良くなる人と、あっというまに仲良くなれる人とがいます。ドリアンさんとは、この数年のあいだに出会った人のなかで、一番「あっというま」に仲良くなれました。同じ年の生まれということや、ともに早稲田大学出身ということや、ともにお酒が好きということなども、その一因でしょうが、なんというか「魂の気が合う」人です。今年出演した「笑っていいとも!」のテレホンショッキングは、彼から電話がまわってきたのでした。嬉しかったなあ。(ちなみに私は次に、俳優の細川茂樹くんに、まわしました。いつか細川くんにも、このコーナーに登場してもらいましょう)
お互いの作品を読んでいたこともあって、初めてお会いした対談の場でも、おおいに盛り上がりました。私は、彼の小説『ベルリン発プラハ』の大ファンで、「せつない恋愛小説を紹介して」と言われたら、いの一番にこの作品をあげます。視野の大きい詩、ユーモアの効いたエッセイ。同じ言葉の遣い手として、おいに刺激を受けています。
メッセージ・コーナーにも書いた方がいらっしゃいましたが、先日、渋谷のエッグマンで行われた詩の朗読も、素晴らしいものでした。ドリアンさんは、バンドのボーカルであることはもちろん、ナレーションの仕事なども多くしていて、知る人ぞ知るカッコイイ声の持ち主なのです。迫力ある言葉に、凛とした声。二時間たっぷり、彼の新しい可能性を感じさせられる舞台でした。
ちょうど文庫になったばかりの『チョコレート革命』の解説も、ドリアンさんに書いてもらっています。一緒に朝まで飲んでしまった日のことから始まる、ユニークな解説ですが、表現する上で、私たちが何を大切にしているかが伝わる、とてもいい文章です。
そういえば、私が司会をしている短歌の番組に出てもらう予定だった、その前日、ススキノで酔っぱらったドリアンさんは、配電盤によじのぼり、落下しました。肋骨を四本折るという豪快なその事件の顛末については、一月下旬発売の『風の組曲』という私のエッセイ集をご覧ください。
ドリアンさんは、釣り好きでも知られていますが、釣った魚をちゃんとさばいて料理もできるのです。このまえ私は、ひらめを御馳走になりました。2000年には、ぜひ釣り舟に乗せてもらいたいなあと考えている今日このごろです。
第22回 林真理子さんへ
第21回 鷺沢萠さんへ
第20回 丸谷才一さんへ
第19回 北杜夫さんへ
第18回 星野富弘さんへ
第17回 平地勲さんへ
第16回 南こうせつさんへ
第15回 岩城宏之さんへ
第14回 野田秀樹さんへ
第13回 鴻上尚史さんへ
第12回 吉永小百合さんへ
第11回 森啓次郎さんへ