「万智の交遊録」第27回は、小説家の江國香織さんです。
同世代の小説家で、私が一番愛読しているのが、江國香織さんの作品です。小説だけでなく、童話や詩やエッセイも、とても素敵で、彼女のなかでは、そういうジャンルの境界線はないように感じられます。
91年の『きらきらひかる』(映画も、すごくよかった!)から、今年の『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』にいたるまで、彼女の描く恋愛は、とてもとても「今」です。そして何ともいえない「とるにたりないもの」や「ささやかなこと」が、泣きたくなるような手ざわりで、そっと差し出されるところに、私は限りない魅力を感じています。
ご本人と初めてお会いしたのは、もうずいぶん前のこと。はじめは、確かお手紙のやりとりをして、「あっ、二人ともサザンが好きなんだ」なんてところから意気投合し、ときどきご飯を食べたりするようになりました。去年は、私の大好きな野田秀樹さんの、お芝居にも、一緒に出掛けました。
そのへんのことは、お互いが文庫本の解説に、少し書いています。『かすみ草のおねえさん』(文春文庫)に香織さんが解説を書いてくださり、彼女の『泣かない子供』(角川文庫)に私が解説を書きました。
写真は、この秋に、京都の宇治市でおこなわれたシンポジウムに参加したときのもの。その一週間前にも、京都の文化デザイン会議で一緒になりました。
すっごく女っぽい美人の香織さんが、ちょっと少年風のシャツを着たりすると、どきっとするほど透明な色香が漂います。この日は、どちらかというと、少女風のいでたちで、それもとてもキュートでした。
ちなみに『いくつもの週末』(世界文化社)というエッセイ集は、「こんな感じだったら、結婚も悪くないかも」と私が思った唯一の本です。
香織さんと話していると、「あー私って、なんか優等生でつまんないかも」と思うことが、しばしばあります。彼女のナチュラルな自由さは、とってもとっても憧れです。

第26回 松尾スズキさんへ
第25回 永作博美さんへ
第24回 田崎真也さんへ
第23回 ドリアン助川さんへ
第22回 林真理子さんへ
第21回 鷺沢萠さんへ
第20回 丸谷才一さんへ
第19回 北杜夫さんへ
第18回 星野富弘さんへ
第17回 平地勲さんへ
第16回 南こうせつさんへ
第15回 岩城宏之さんへ
第14回 野田秀樹さんへ
第13回 鴻上尚史さんへ
第12回 吉永小百合さんへ
第11回 森啓次郎さんへ