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「万智の交遊録」第28回は、画家の安野光雅さんです。

安野光雅さんのこと

 ずっと憧れだった安野光雅さんに、エッセイ集の装丁をしていただいたのは、1989年のこと。『りんごの涙』という本で、そのときの原画は、我が部屋に大切に飾られています。以来、『短歌の旅』『かすみ草のおねえさん』『あなたと読む恋の歌百首』などの装丁でお世話になりました。「あなたと読む……」のほうは、新聞連載のときに毎週毎週、二年間にわたって挿画を描いていただきました。恋のエッセイの最初の読者が安野さんというわけで、歌の話や恋の話を、いろいろとしたりしました。
  安野さんの絵と、私の短歌を組み合わせて、『そこまでの空』という絵本を作ったこともあります。二人の作品を並べて、あーだこーだとカルタ取りをするように組み合わせていく作業は、とても楽しいものでした。
  芸術家というのは、感動する心を持った人なんだなあと、安野さんとお会いしているとつくづく思います。飾らず、いつも率直で、相手がどんな人であっても「素」の自分で接しておられるところが、安野さんのカッコいいところです。
  年に何度かは、ごはんを一緒に食べる機会がありますが、安野さんは、大のニンニク好き。ニンニクの効いたパスタ、ニンニクのたっぷりのったステーキ……などを前にすると、ニコニコ顔になります。そういえば、以前仕事でイタリアにご一緒したとき、レストランで生のニンニクを別 に注文して、料理に加えておられました。安野さんの元気の秘密は、間違いなくニンニクでしょう。
  2001年の春には、故郷の津和野に、安野さんの美術館ができるそうです。ここには、必ず足を運びたいと思って、今から私もとても楽しみにしています。津和野といば、安野さんは、同郷の森鴎外の大ファンでもあります。私が鴎外訳の『即興詩人』を読んだのは、安野さんに強く勧められたからでした。ストーリーもさることながら、鴎外の日本語に酔わされる本です。
  写真は、麻布十番のおいしい料理屋さん「はじめ」にて。撮影者は、この交遊禄に登場したことのある森啓次郎さんです。この日、森さんの番組に安野さんがゲスト出演され、その後お二人が飲んでいるところへ、私が合流したのでした。

第27回 江國香織さん
第26回 松尾スズキさん
第25回 永作博美さん
第24回 田崎真也さん
第23回 ドリアン助川さん
第22回 林真理子さんへ
第21回 鷺沢萠さん
第20回 丸谷才一さん
第19回 北杜夫さん
第18回 星野富弘さん
第17回 平地勲さん
第16回 南こうせつさん
第15回 岩城宏之さんへ
第14回 野田秀樹さん
第13回 鴻上尚史さん
第12回 吉永小百合さん
第11回 森啓次郎さん



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