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「万智の交遊録」第33回は、雅楽奏者・音楽家の東儀秀樹さんです。
東儀秀樹さんのこと
東儀さんのCDを初めて聴いたのは、五、六年前のことだったと思います。私のサイン会に来てくださった読者のかたから、プレゼントされたものでした。その人は、東儀さんの熱烈なファンでもあるらしく、「彼の世界と、万智さんの世界は、ものすごく響きあうものがあるんです。ぜひ聴いてみてください」と言って手渡されました。
東儀さんの音楽にふれて、その人の言ってくれたことが、私自身にも、とてもよくわかりました。雅楽という伝統のある表現方法を継承しながら、そこに今を生きる自分を反映させたい──そんな思いが、力強く伝わってきます。そして、そうすることによって、雅楽の魅力が深まり広まってゆくことを、この人は信じているのだと感じました。
短歌という伝統のある表現方法を選んだ私も、まったく同じように考えています。もちろん、彼の音楽の素晴らしさそのものに、まず魅了されましたが、それに加えて、表現形式との向き合い方に、心からの共感を覚えました。
その後、コンサートで、生の演奏を聴いたときには、震えがきたほどです。隣にいたフランス人らしき女性が、最初の曲が終わった瞬間に「フウーッ」とため息をもらすのを聞いたときは、日本人としてとても誇らしく思いました。
事務所のかたのご配慮で、楽屋にお邪魔したりして、直接お話しする機会にも恵まれました。想像通りのナイスガイです。正直に言うと、神様は必要以上にこの人を、ハンサムにお作りになったようにも思われました。
写真は、去年の夏に、富士山の見える会場でのイベントで、ご一緒したときのもの。本番前の、くつろいだTシャツ姿の東儀さんも、とても素敵でした。そのときに写真を撮ればよかったと後悔しています。この時は、彼が俳優としてテレビドラマに出る話などで盛り上がりました。NHKの放送、チェックしましたが、堂々たる演技でしたよ。
コンサートやイベントでは、常に「追っかけ」「出待ち」的な女性がいるので、東儀さんとお話していると申し訳ないような気持ちにもなります。でも、この日は、先に会場を後にしようとしていた私を、追っかけてきてくださいました。最後のあいさつは、きちんと……東儀さんは、気配りの人でもあるのです。
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