(トップページより続く)……「人間カーナビ」と私は呼んでいるのだが、一度地図を見たら、それが完璧に頭に入ってしまい、目的地をインプットすると、たちまち最短距離でその地に到達できるのだ。すごい、すごすぎる。私なんて、いつもと違うエレベーターを使っただけで方向感覚を失い、マンション内の対角線上にある人の家のドアに、鍵を差し込んでいたりする。学生時代には、東西線の早稲田の駅になかなかたどり着けず、人の流れに沿って高田馬場まで歩いてしまうなんていうことは、しょっちゅうだった。
 「ちい旅」北海道編の取材のときには、夕飯を食べるために目指した店をインプットしたアキちゃんが、タクシーの運転手を言い負かすというできごともあった。面倒くさそうに「はい、この通りだよ」と私たちを降ろそうとする運転手さんに、「いえ、この次の角を曲がって、ああ行ってこう行って、もう一本裏の筋です」と抗議するアキちゃん。ホテルから近い店だったので、最初からかなり機嫌の悪い運転手さんではあったのだが、彼女の言葉にはムッとした様子で、「素人が何言ってるんだ」という感じで、しばらく言い争いが続いた。で、結果を言うと、「すみません。私が間違ってました」と運転手さんが謝ることになったのである。
 「アキちゃん、すごいね。札幌に住んでたことあるの?」「いえ、今回が初めてです」「………」。
 そんなふうに思いっきり頼もしい、そして(こちらのほうが大事なのですが)とっても気の合うアキちゃんと、今回はプライベートで「初めてのソウル」を旅してきた。そもそも、なぜソウルかというと、これも「ちい旅」の「ベトナムクルーズ編」で、カジノにハマった私たちが「いつか本当のカジノで賭け事をしてみたい」という夢を持ったことに端を発している。
 船では、毎晩のようにブラックジャクを楽しんだ。地上に降りてからは、池尻大橋にある「909」という店で修行も積んだ。しかしそういう店では、いくら勝っても、賞品としてTシャツなどが貰えるだけである。そこで私たちの「ソウルでカジノ三昧計画」が立てられたのだった。
 さて、前置きが長くなってしまったが、ここからはデジカメで撮ってきた映像に沿って、旅の一コマ一コマを記していこう。

 今回は、韓国往復の航空券とホテル、というシンプルなパックツアーに申し込んだ。それに空港とホテルの間の送迎がついている。ホテルはもちろん、ソウルで最大規模のカジノを持つ「シェラトン・ウォーカーヒルホテル」である。ソウルの中心部からは、やや距離があり、買い物や観光目的の人には多少不便だが、最寄りの地下鉄の駅まではシャトルバスが運行されている。おかげで地下鉄の乗り方もマスターできて、いい経験になった。
 さて、最初の写真は、空港からホテルまでの送迎でお世話になった、ガイドの禹(うー)さん。ガイド通訳の他に司会業などもこなすという才媛だ。名刺に印刷されている写真は、メイクも照明もばっちりで、女優さんかと思うほどの美しさ。もちろん、実物もこの写真のとおり美人なのだが、「私も気合を入れて化ければ、これぐらいにはなりますヨ」と笑いながら名刺をくれた。
 とても気さくな人で、下ネタも辞さない勢いでしゃべってくれる。彼女から聞いた現在の韓国事情は、とても興味深いものだった。
 一番驚いたのは、「第一子は男の子でなくてはならない」という風潮がとても強いということ。妊娠四カ月目でわかる調音波検査で「女」と出た人は、おろすことが多いという。非合法ではあるのだが「赤ですか青ですか」「こっちの色なら、ちょっと……」というような暗号で、会話がやりとりされるのだそうだ。それでも、現在の子どもたちの男女比が10対7ぐらいだというのは、二人三人と子どもを産む女性が多いからだろう。(二人目からは、女の子も大歓迎)。今の日本で、そこまで男の子重視がされたら、もっと男の子の数が多くなってしまうと思う。
 韓国では、男の子のおちんちんを「コチュ」という愛称で呼ぶそうだ。コチュとは、唐がらしのこと。形からくる連想なのだろう。「そうです。ですから、大人の男の人のは、もうコチュとは言いません。大人になると、こう根元が太くなって、先がこうなって、ああなって、松茸みたいの形になります。あれはコチュではない」と力強く説明してくれる禹さん。その勢いを止めることは、誰にもできなかった。
 韓国の慣用的な言い回しでは「男が台所に入ると、唐がらしが落ちる」というそうだ。つまり、日本的に言えば「男子厨房に入らず」である。現在でも、かなり儒教の精神が強く、それが日常のなかで生きている。「女のくせに」とか「女だてらに」という言い方は、しょっちゅう耳にする、と禹さん。それでも、彼女のようにバリバリ仕事をして、子どもも三人育てて(写真を見せてくれました。長男の一歳の誕生日に、糸とお札が飾ってあります。糸は長生きするように、お札は金持ちになるようにという意味なんだとか)、生き生きと頑張っている女性が、現にこうして目の前にいるということは、頼もしいなと思いました。(つづく、→デジカメ絵日記ソウル編2へ)


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