(トップページより続く)……すっかり慣れた。韓国の地下鉄はラインごとに色が決まっているのと、駅に番号が付いているのとで、文字(ハングル)が読めなくても、だいたい見当がつくのがありがたい。値段は五十円か六十円と、なかなかお得。たまに、車内で演説をしながら物を売っているおじさんなどにも遭遇する。
午前中は、市内のデパートを探検したのだが、免税店などに比べると、ややさびれた雰囲気だった。驚いたのは、家電売り場。電話器や炊飯器の、なんともカラフルで可愛らしいデザインのものたちが、所狭しと並んでいる。人参型のとか、ショッキングピンクのとか。そうか、こんなのもアリなんだ、と、目からウロコが落ちる思いの品々に、圧倒されるひととき。
軽く冷麺を食したのち(どんぶりが運ばれてくると、給仕の人がいきなり植木用みたいなハサミを突っ込んで、麺をジョキジョキ切ってくれる)、午後からは、「いちおう観光らしいこともしよう」と、JCBプラザで申し込んだ半日市内観光ツアーへ。青瓦台(ブルーハウス)という金大中氏の住まいや、昌徳宮という宮殿や、南大門市場などを見学する。途中で立ち寄った「骨董通り」には、なかなかおもしろい店が並んでいて、こまごましたお土産を買うには最適だった。コースターとか湯呑みとかせんすとか箸置きとか。
南大門市場も、とても活気があって、いい。私はかねてからのお目当てだった韓国のりと朝鮮人参のエキスをゲット。ホテルの売店や免税店などより、かなり安い。
韓国の茶道の先生のところでいただいたお茶の美味しさは、忘れがたいものとなった。見るからに心の綺麗そうな先生なのもよかった。誇りをもって韓国のお茶について語ってくださり、日韓友好のことを真剣に考えておられる。ツアーの一環として、このお茶のサービスのあとで、きっと韓国茶の販売があるのだろうと思っていたら、そういうのは全くなかった。「韓国といえば『般若露』。このお茶の名前を覚えてくださいね」という先生の微笑みが、印象に残る。甘くて、しみじみとした味わいだった。

色とりどりの電話機。東京ではこんなの売ってない?
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南大門市場のにぎわい。「のり」と日本語も
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韓国といえば般若露(手前の箱に名前が見えます)
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肉は脂身は少なく、じつにやわらかいのでした
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そして、いよいよ夕食は、満を持しての焼き肉である。自分ちの牧場で育てた牛を、もっともおいしいとされる「どんぐりの木の炭」で焼いてくれるという「漢陽チュムロッ」。チュムロッとは、ひれ肉の意味という。「メッチュ、チョセヨ」(「ビールをください」)と、まず頼む私たちは、いっぱしの韓国通?
塩タン、味付け牛ひれ肉、素焼き牛ひれ肉、めす牛の肋骨カルビ焼き……。日本の霜降り肉と違って脂は少なめなのだが、実にやわらかく、肉の甘味と旨味がギュウっと(シャレではなく)詰まっている。そして、肉と一緒に食べるネギがまた絶品だった。青いネギと白いネギが半々ぐらいで、カールするぐらい細長く切ってある。聞けば、それにレモン汁と梨とリンゴのすりおろしたものが混ぜられているという。これを、肉でたっぷり巻いて食べると、モー(シャレではなく)至福の味わいだ。この他にも、カルシウム豊富なえごまの葉やサンチュなども供される。しかも、これらネギや野菜の類はすべて無料(日本なら600円はとられるね)。ネギ好きの私が、またたくまに消費してしまうと、すかさず補充してくれるから、嬉しくてたまらない。もちろん、数種類のキムチやニンニクも無料で提供される。
肉を食べすぎて、ビビンバや冷麺までいきつかなかったのが残念だが、ほんとうに大満足。値段は、アキちゃんと私で7000円と、今回の旅ではもっとも高かったが、コストパフォーマンスを考えれば、充分すぎるほど納得できる。
そんなこんなで、三日目の夜も更けて、無事(?)就寝かと思いきや、ホテルのシャワーを浴びて私が出てくると、ベッドの上でアキちゃんが真剣な表情で正座している。
「ど、どうしたの?」と驚く私。
「あの、昨日の夜の初体験だけで、もうカジノは充分
だってことになってましたよね」
「う、うん」。
──実際、本場の雰囲気を体験しただけで、もういいかなと思ったし、行けば行くだけ散財しそうだし、何よりも、カジノ以外の面で、ソウルが予想以上に楽しい場所だとわかったので「もう、カジノはいいや」ということになった。
「でも、やっぱり初志貫徹といいますか。わざわざカジノのあるこのホテルを無理してとったわけだし。私、このままで帰っていいのか、と、自問自答していたんです。実は、そのためにお金も、いっぱいおろしてきたし」とアキちゃん。それで、ベッドの上で正座だったのか。
「えっと、そんなに未練があるなら、行ったほうがいいんじゃない?」
「やっぱり、そう思います?」
「う、うん」
「じゃあ、私、化粧を落とす前に、カジノ、行ってきますね」
──そう言われると、化粧を落としてしまった私も、なんとなく心残りのような気がしてくる。もともとカードは好きなほうだし、そうだ、せっかくソウルにまで来たんだ、たった一回の経験で引き下がっていいのか? という気分になってきた。
というわけで、焼き肉とビールで満足したはずの私たちは、再びカジノへと足を踏み入れることになった。さて、二度目のチャレンジや如何に? 以下、次号。
(つづく、→デジカメ絵日記ソウル編5へ)





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