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讀賣新聞夕刊に2003年8月25日より2004年3月まで連載した私のはじめての小説『トリアングル』が、2004年5月25日に単行本として発売になりました。(中央公論新社刊、定価税込1470円)

  【「連載の前に」】主人公は、今を生きる三十代前半の女性です。恋愛、仕事、結婚…かつてないほどの多くの選択肢を手にしつつ、そろそろ自分らしい答えを見つけはじめる、そんな時期。日常的な視点から、本音の部分を描けたら、と思っています。試みとしては、地の文に、短歌を織り込んでいきます。『伊勢物語』や『源氏物語』の時代には、物語と和歌は、ごく当たり前に同居していました。その魅力を、現代の小説のなかでも生かしてみたい、と考えています。散文と短歌が響きあって、新たな広がりや余韻が生まれれば、と思います。タイトルは、フランス語で「三角形」を意味する言葉。小説は「トリ(鳥)のアングル(視点)」なんだな、ということも感じています。(『読売新聞』2003年8月12日夕刊より)

【「連載を終えて」】
 「圭ちゃんって、なんでこうなんだろう」「薫里って、なんでこうなんだろう」そして「Mって、なんでこうなんだろう」。書きながら、ずっと考えていた。考えながら、ずっと書いていた。その軌跡として「トリアングル」はある。そして連載は終わったけれど、一冊の本にするために、私はまだ、圭ちゃんや薫里やMから離れられないでいる。「なんで?」をさらに深めて「トリアングル」と向き合っている。
『読売新聞』2004年3月11日夕刊より)

【オビに引用した短歌】
唐突に恋は始まるものだからさあもう一度いえもう二度と
【キャッチコピー】
妻子ある恋人と過ごす満ち足りた時間
年下の彼がくれる新鮮な刺激
二人を同時に愛するのは罪なのだろうか
著者初の長篇恋愛小説
【連載時のイラスト・本のカバーイラスト】おおの麻里さん

【書評より】
「(前略)それにしても。かつてこんなに穏やかで健やかな不倫小説、いや恋愛小説があったろうか。(中略)主人公とその不倫相手は一夫一婦という制度からはみ出した不倫という次元を越えて、もう自分たちだけで一夫多婦制をマジメに実行している感じだ。それでけにエロスに欠けるきらいもあるが、歌は違う。「水密桃の汁吸うごとく愛されて前世も我は女と思う」といった歌が誰詠むともなく物語に挿入されて、ラストは現実につながっていく……。本書が新しい歌物語というジャンルを切りひらいているのはたしかだ」(大塚ひかり氏、『週刊文春』より)
「『トリアングル』は線描画を思わせる小説である。色彩や陰影を持たず、柔らかな一本の線だけで描き上げられた絵。輪郭ははっきりと目に映る。ただ、色や影がないだけに立体像を思い浮かべるのが難しい。それは読む者の仕事にまかされている。つまり、作品には様々な隙間が残されている。そして、隙間によって支えられた透明な立体感とでもいったものが次第に醸し出されてくるところにこの小説の特質がある。(中略)
『トリアングル』で見落とされてならぬもう一つの特質は、随所に挿入される短歌である。地の文と微妙な距離を保ちつつ、つかず離れずの関係で浮遊するかのような表情を浮かべる短歌は、歌集の中とは別の場で遊ぶ子供のようでもある。(後略)」(黒井千次氏、『週刊朝日』より)


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